東方の博士の礼拝

 


目次

◆天地創造
◆アダムの創造
◆女の創造
◆蛇の誘惑
◆楽園追放
◆楽園追放
◆カインとアベル
◆ノアの箱舟
◆大洪水
◆鳩を放つ(ミレイ)
◆鳩を放つ(ドレ)
◆ノアの祭壇
◆受胎告知
◆羊飼いの礼拝
◆東方三博士の旅
◆三博士の礼拝
◆エルサレム入城
◆弟子の足を洗うキリスト
◆最後の晩餐
◆ゲッセマネの祈り
◆聖衣剥奪
◆十字架の下での悲しみ
◆十字架降下
◆我に触れるな
◆キリストの洗礼1
◆キリストの洗礼2
◆悪魔の誘惑
◆ペテロとアンデレの召命
◆マタイの召命

日本聖書協会発行『アートバイブル』より
『アートバイブル』の絵の使用については、当サイトより日本聖書協会に申請をして、同協会より許諾を得ています。」2007N10010 ●聖書からの黙想は、:坂野慧吉著「創世記」『新聖書講解シリーズ:旧約1」(いのちのことば社発行):を参照しています。

「名画で巡る聖書の旅」

バイブル・アンド・アート・ミニストリーズ / 代表 町田 俊之

■16回 ブリューゲルの「三博士の礼拝」
(1564年、ロンドン、ナショナル・ギャラリー)

16、ブリューゲルの「三博士の礼拝」<アートバイブル:p.22>

◆ 聖書箇所

 イエスが、ヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方の博士たちがエルサレムにやって来て、こう言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方の星を見たので、拝みにまいりました。」
それを聞いて、ヘロデ王は恐れ惑った。エルサレム中の人も王と同様であった。そこで、王は、民の祭司長たち、学者たちをみな集めて、キリストはどこで生まれるのかと問いただした。彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれているからです。「ユダの地、ベツレヘム。あなたはユダを治める者たちの中で、決して一番小さくはない。わたしの民イスラエルを治める支配者が、あなたから出るのだから。」 
そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、彼らから星の出現の時間を突き止めた。そして、こう言って彼らをベツレヘムに送った。「行って幼子のことを詳しく調べ、わかったら知らせてもらいたい。私も行って拝むから。」彼らは王の言ったことを聞いて出かけた。
すると、見よ、東方で見た星が彼らを先導し、ついに幼子のおられる所まで進んで行き、その上にとどまった。その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。そしてその家にはいって、母マリアとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。そして、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげた。それから、夢でヘロデのところへ戻るなという戒めを受けたので、別の道から自分の国に帰って行った。

                          -マタイ2:1〜12節-

◆聖書からの黙想

 イエスが生まれたのは、「ヘロデ王の時代」でありました。当時のユダヤは支配国であったローマ帝国によって紀元前40年にユダヤの王として任命され、紀元前4年に死亡したヘロデ大王と呼ばれる人でした。
イエスが生まれたとき、東方から博士たちがやって来ました。この人々は、バビロンあるいはペルシャから来たと考えられます。バビロンにユダヤ人が捕らえられていたとき、旧約聖書に示されている、やがてメシアが出現するという希望を、バビロンの人々はユダヤ人を通して聞いていたと思われます。

  博士たちが星を見ていると、不思議な星が見えたので、何か異常な出来事が起こるに違いないと彼らは直感しました。それは何百年も前に、ユダヤ人から聞いていたことを思い起こし、それに違いないと信じてユダヤまでやって来たのです。彼らは聖書についても十分な知識もありませんでしたが、困難と危険の多い荒野を長時間旅してイエスの誕生をお祝いしたのでありました。そして、彼らがささげた物は、黄金(王権を意味する)、乳香(礼拝にささげる香)、没薬(死体に塗る香料)=どれも高価なものでありました。

◆ 画家ブリューゲル(1525/30-69年)について

 初期にはアウトウェルペンで活躍。イタリアにも旅をしました。はじめボス風の幻想的な銅版画で知られていますが、次第に複雑な構成の油彩へ向かっていきました。大画面に群像を配した宗教画や風刺の効いた風俗画があります。晩年は「農民ブリューゲル」と称されたように農民の生活を多く題材にとりました。

◆絵画からの瞑想

 この場面は、東方の博士たちが、母マリアに抱かれているイエスを発見し、イエスの前で礼拝をささげ、贈り物を差し出している場面です。農民画家で有名なブリューゲルは、東方から来た博士たちの服装や表情も農民出身者のような雰囲気を与えています。また、マリアの顔も少し隠れており、特別に美化したり、強調していないのが大きな特徴と言えます。また、マリアの後ろでは夫のヨセフが隣りの男から耳打ちされているところが描かれていますが(たぶん、博士たちについての説明を受けているところ)、日常性もこの中に見事に描かれています。

  また、三博士の中に黒人もおりますが、当時は、三博士を三大陸(アジア、アフリカ、ヨーロッパ)のそれぞれの代表として表わしたものがあります。これもその一例です。イエス・キリストは全世界の王であることを強調しています。


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