日本聖書協会発行『アートバイブル』より
『アートバイブル』の絵の使用については、当サイトより日本聖書協会に申請をして、同協会より許諾を得ています。」2007N10010
●聖書からの黙想は、:坂野慧吉著「創世記」『新聖書講解シリーズ:旧約1」(いのちのことば社発行):を参照しています。
「名画で巡る聖書の旅」
バイブル・アンド・アート・ミニストリーズ /
代表 町田 俊之
■第26回 レオナルド・ダ・ヴィンチの「キリストの洗礼」
(1472-73年、ウフィツィ美術館)
26、レオナルド・ダ・ヴィンチの「キリストの洗礼」<アートバイブル:p.33>
◆ 聖書箇所
「イエスは洗礼を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のように御自分の上に降って来るのを御覧になった。そのとき、『これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』と言う声が、天から聞こえた。」
−マタイ3章16、17節−
◆聖書からの黙想
・ キリストの洗礼は、父なる神の喜ばれることであり、神がキリストを心から愛していることがここで宣言されています。神とキリストとは一体の関係であり、このお方が地上で、多くの神の業を行われ、ついには十字架の犠牲を受けられ、復活のいのちに預かられるのです。
・ 本来、罪ある者が、その悔い改めのしるしとして洗礼を受けるものですが、キリストは、私たち人間と同じ立場になるために、バプテスマのヨハネから洗礼を受けられました。
・ バプテスマのヨハネは、旧約から新約へと橋渡しする預言者として重要な役割が与えられていました。
・ キリストがヨハネから洗礼を受けられたことは、私たち人間を罪の世界から救い出すために、神様がとられた最善の方法でした。
◆絵画からの瞑想
・ この作品は、イエス・キリストが公生涯を始めるにあたり、バプテスマのヨハネから洗礼を受ける場面を描いたものです。
・今、話題になっているレオナルド・ダ・ヴィンチが、この絵の一部(左下の二人の天使の左 側)を描いたことでも有名です。レオナルドは14歳からフィレンツェで金工家,彫刻家、また画家として活躍した最も有名な工房の親方ウ゛ェロッキオ(1435-88年)のもとで修行しました。彼のもとからダ・ヴィンチとともに、ボッティチェリなど優れた芸術家が生まれました。
・ 当時工房では、しばしば弟子たちが親方の作品制作の手伝いをしておりました。できあがった作を見たウ゛ェロッキオは、レオナルドの天使の見事さに圧倒され、その後、二度と絵筆をとらなかったと言われます。
・ この絵の中心には、キリストがまさに今、バプテスマのヨハネから洗礼を受けているところです。右側のヨハネは十字架の杖を持っていて、それがヨハネの印であります。そして、画面の中央をよく見ると、キリストの頭上には鳩が描かれ、またその上には両手が描かれていることを発見するでしょう。この両手が父なる神を表わしています。ここには、キリスト、聖霊、父なる神の<三位一体>の図として描かれているのです。
・ イエスが洗礼を受けられたことは、父なる神のご計画であり、またイエスが人(人類)をその罪から救い、永遠のいのちを与える救い主であることを示している出来事でした。