クリスチャンビジネスマンへの朗報
働くことに喜びがありますか?    
>> 『参考文献』
〜信仰による労働の変革〜

アガペコミュニティーチャーチ 門谷 ユ一


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目次


U.神が与える労働の本来の姿

3.労働の具体的定義と内容

以下の議論の参考のために、ここで労働に関する定義について簡単に述べる。
労働は人間として果たすべき本分または使命と看做す時にそれを職分という、またそれが役割的任務のもとでなされる場合にはそれを職務といい、社会生活の中での資格と義務の体系として位置づける場合にはそれを職業という[6]。労働は人間の行うすべての働きを含み、必ずしも会社や企業等で働くことを意味しない。それは家事やボランティアの働きなどをも含むものである。職業はそれによって暮しが成り立つ労働だけを意味し、労働の一部である。これは英語のOccupationに対応している。この労働が本来神聖なものであることは、永遠の神の御子イエス・キリストが大工の作業場で働かれたこと(「この人は大工ではありませんか。マリヤの子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではありませんか。その妹たちも、私たちとここに住んでいるではありませんか。」こうして彼らはイエスにつまずいた。」(マルコ6:3))及び使徒パウロが天幕作りの職を持っていたこと(「パウロはふたりのところに行き、自分も同業者であったので、その家に住んでいっしょに仕事をした。彼らの職業は天幕作りであった」(使徒18:2〜3))が証ししている[4]。

召しが神の呼びかけや御旨や命令に対して敏感に反応し、応えていくことであるとすれば、労働はその召しに応えて主のものであるこの世を管理する任務に就くことである。神が造られたものは、人も草も木も動物も全て良かった。神は人に豊かに恵まれた世界の管理を任されたのである。神は創造した世の中を人間に委ね、「耕すこと」と「守ること」を私たちの使命とされた[2]、いわゆる世界管理の使命。職業はこの世界管理の一部である。創世記の御言葉「神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地を這うすべての生き物を支配せよ。」」(創世記1:28)から、神は人間にこの地を治め、良く利用するように支配権をお与えになったこと、それゆえ意識するとしないとを問わず、すべての人のためにこの世界を住み心地の良い場所にすることは、被造物を愛しておられる創造主なる神への奉仕であることは前述した。

このような働きの結果を文化という。それによって、人間は、地上の資源を利用し、家を建て、食物と福祉を確保し、能力と技術を開発し、自分にとっても他の人々にとっても役に立つ世界を築いていく。それが、文化と建設的な働きである。働くすべての人は文化を建設する働きに参与している。もし文化が創造的な働きであるとするならば、芸術は、音楽、絵画、形の領域での創造的な働きである。思考の領域での建設的な働きは「科学」と呼ばれる。科学は人間の創造的思索と研究によって達成される働きである[11]。
中世カトリシズムでは、神がそれぞれの職業を定められたのだから、人は与えられたままの職業にとどまるべきであるとされ、すべての職業は階層的に受け止められた。聖職者の仕事など宗教的なものが最高で、世俗の仕事はそれより劣り、後者の中では、理性的なものは高く、肉体的なものは低く位置付けられた[10]。宗教改革において、それまでのカトリックの見方とは全く異なる見方が生じた。ほとんど例外なく、宗教改革者たちはこう主張した。どんな労働も等しい価値があり、等しく神に喜ばれるものであると[4]。ルターは、神は摂理によって各人にそれぞれ社会における役割を与えて、その働きをするようにしてくださったと教えている。カルヴァンも、労働の勧めにおいて人後に落ちなかった。わけても、彼は有益な労働を強調した[4]。

創世記の御言葉の中には様々な労働が記されている。例えば「アダはヤバルを産んだ。ヤバルは天幕に住む者、家畜を飼う者の先祖となった。その弟の名はユバルであった。彼は立琴と笛を巧みに奏するすべての者の先祖となった。ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅と鉄のあらゆる用具の鍛冶屋であった。トバル・カインの妹は、ナアマであった。」(創世記4:20〜22)、「さて、ノアは、ぶどう畑を作り始めた農夫であった。」(創世記 9:20)。このように労働には昔も今も変わらず実に色々の種類があるが、私たちは、日常的な労働と宗教的な労働は領域が異なるだけであり、むしろそれら各々の労働が、世俗的なレベルなのか霊的なレベルなのかが重要であることを覚えなければならない。

 

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