コラム
「身体も心も元気になる食事」 1
─全体をまとめた題としては、「身体も心も元気になる食事」というのがどうかな、と思っているんですがいかがでしょう。
荘:いいですね。今まで講演や何かで使っていた資料もあります。もうひとつ、心の健康管理ということになりますかね。今までいろいろ参考にしてまとめた資料がありますので、この中から抜粋してとり上げた方がいいかな。心のケアが多いので、この中から使えそうなものがあれば。あとちょっと面白いかなというのが・・・。
○相手の失敗から自分の責任を発見する
─名詞の裏に書いてあった内容ですね。「相手の失敗から自分の責任を発見する」というのは、相手が失敗した時に、自分にも責任があったという意味ですか?
荘:人間は相手の失敗を責めますよね。「何回言ったらわかるの、また同じ失敗をやって」と言いますよね。でも言えば言う程失敗する。そこで逆に助けてあげることによって失敗をしなくて済んだんじゃないかな、と考える方が、失敗するチャンスが少なくなるんじゃないかと。言って失敗が直るんだったら、言えばいいんですけど、言えば言うほど失敗する。
─トラウマになって。
荘:子供に「何またテレビ見て」と叱る方が勉強するのか、「お父さんに聞いてわかる事だったら聞いてね」と言う方がテレビを見る時間が少なくなるのか。どっちがより効果があがるのか。忙しすぎて構わなくて放っといたからこうなったんだな。少し手伝ってあげることによって良くなっていく方が早いかな、と。であれば考え方を変える。
─問題は考え方を変えるきっかけですよね。
荘:失敗を責めるのではなく、失敗しないために教えてあげること。叱ったり怒ったりすることは必ずしもいい場合ばっかりじゃない。少し手伝ってあげることによってテレビを見る時間が少なくなって勉強する時間が多くなるなら、逆にこっちも楽じゃないですか。相手の失敗から自分の責任を見つける。でも世の中は逆なんですよね。自分の失敗も相手のせいにするというのが世の中の常みたいなものですから。小さい時からそういうふうに習慣づけられているので、なるべくなら自分が責任をとりたくない。
○「そうですね」と受け止める
─こういうカードは何枚ぐらいお持ちですか。
荘:カードは3枚で全部揃うんです。3枚目は目的と言葉です。
─これはどういうところからタイトルをつけられました?
荘:しょっちゅう夫婦喧嘩をやってました。夫婦喧嘩をやってまして、僕はどっちかというと気が長くて家内はスピードが速いですね、直球でくるわけですよ、しかも速球で。で、どうやったら会話ができるのかな。会話をするためには何が必要かな、ということを考えたときに、とりあえず「そうですね」で受けておけば、会話がつながる。「そうじゃないじゃない」と言えば、会話はそこで終わってしまう。ですから家内を通して僕以外の人は全部僕の先生というふうに考えるようになってきました。というのは10何年前に香港に旅行したとき、現地の方と一緒に食事をしたんです。見ていてなごやかで、まあなんとすばらしい夫婦なのかな、お互いにいたわりあって。こういう夫婦を目指したいと思いました。会話がすばらしい。どうやったらこういうふう夫婦になれるのかな、と思いましたが、やっぱりコミュニケーションですね。お互いに自分を理解してもらいながら相手を理解する。これに尽きるな、と。家庭円満のためには努力していかなければいけない。愛というのは育てていくものだなあ、ということが分かってきました。いろんないいエッセンスがあるとこれを持ってきて分かち合う。この人の個性とこの人の癖とこの人の持ち味と。これがいい。これをいじくっちゃだめだと。もう、レモンは黄色くてすっぱくていい、これを赤くて甘くしちゃうとリンゴになっちゃうから、レモンの価値がない。これを受け止めてどう一緒にやっていくのかがポイントで、相手を変えよう変えようと思っている間はなかなかうまくいかない。過去と他人は変えられないが、未来と自分は今からでも変えられる。
○自分は自分で相手は相手(レモンとリンゴ)
─やりますけどね。相手を変えようとして。
荘:もっと面白いことは、自分の性格とか性質とか個性というものは、自分で作ってないじゃないですか。自分が選んだんじゃない親と環境とで、性格、性質ができてきているわけじゃないですか。自分が好むと好まざるとにかかわらずできている。そうしたらそれをまず第一に知ることが先ですよね、だから僕はレモンなのかリンゴなのか。それを分からずにやっているとおかしいので、それが分かってくると、自分は自分で相手は相手。そこから物事をスタートして考えていくと、まあ何と楽しいことか。自分の個性や癖が分かり、また相手もわかる。性格などは親からもきますね。ですから結婚するときは相手の親を見よ、と中国ではよく言います。
─それでもやっぱり意見の違いというのはありますよね。
荘:意見は逆に一緒の方がこわいですね。必ず違うようになっているんですね。
─違いをまず受け入れるということですね。
荘:違いを受け入れて、「そうですね」でまず受け入れて自分との違いをまず吟味して、それからもう一度自分の考えを言う。受け入れてから言うのと、受け入れないで言うのとぜんぜん違うじゃないですか。何回か言っているうちに逆に自分がみえてくる。傲慢とか強引とかが。勘違いもありますしね。
─ご主人の意見を奥様は「そうね」と受け止めてくれます?
奥様:ははは・・・
荘:受け止めてくれるように最近なってきましたね。なってきた背景は何かというと、昔は強引だったから、要するに押していくと。そうすると押すということに関しては否定がきますね。最近は押すんじゃなくて一応それを提案していく。相手が「そうね」と受け止めてくれたということは、僕が変わったということですね。相手を通して自分が見えてくる。自分の強引さが、少しは丸くなってきたかな。
─そういうことに気づく方は少ないですよ。
奥様:私言っているから。強引だよ、とか。
荘:黄色いカードですよね。
─自分で分からないことがありますよね。やっぱり言っていただかないと。奥様が言ったときに、ご主人は受け止めてくれます?人によっては感情的になってね。
奥様:結構落ち着いて大丈夫なんですよ。受け止めてくれるんですよ。だから勉強になっているのよね、お互いに。結構気が強いから、ぱっと言っちゃうから、時々後悔しますよ、言っちゃいけないかな、と。
○生活環境と性格(王子様から使用人へ)
─荘さんはもともとのご性格としては、受け止める性格ではなかったのですか。
荘:ですから自分の性格を振り返ってみますとね、中国で生まれた時、親がとても裕福な家庭だった。女中さんを使っていた身分だったので、王子様のように扱われていた。中国では女性よりも男性、ということで、姉よりも僕の方が大事にされた。それで日本に姉と弟と三人で来た時、女中さんは僕に聞くんですよ。食事は何を召し上がりますかって、僕に聞くんですよ。そして僕が決める。僕が小さいときから中国で大切に育てられていましたが、小学校の時父親が友人の保証人になって借金をしてしまったため環境が全く変わりました。両親は大変な思いをしたんでしょうが家族がバラバラになって人の家に預けられて、王子の生活から使用人の生活に変わり肩身の狭い思いをしました。それが自分の性格に影響して、言いたいことを言えていた性格から言えない性格になってきて、そして中学校の時に、親の収入だけでは家が賄えない状態になって、中学中退で仕事に入りました。ですから本当は学生で悠々としていたのが、いきなり大人の社会に入って、見習い制度の中で厳しい教育を受けたんです。丁稚奉公ですから。そういう経験を経てきて、そういった意味で忍耐というのがもしかしたらそこで養われたのかもしれませんね。負けん気とか悔しさとか、そういうものがあって。ですから自分の性格はそういう風にしてできてきている。そういう中で二十歳ごろ家内に出会って、6年ぐらい恋愛してから結婚しました。
─職場で知り合ったのですか。
荘:そうですね。今振り返ってみると、温厚で大人しくて我慢強くてという自分の性格から、相手に対して自分のないものを求めるんですよね。けれども時間がたってくると、自分の中にあるわがままを家内に受け入れてもらえない、という時期がありました。子育てで忙しい時は大きな喧嘩はできませんでしたが、子供が手離れてしていってから、大きな喧嘩をしている中で、少しずつ冷静になった時に喧嘩の原因を調べてみました。「なんだ、勘違いで喧嘩になったんだな。」今度からは「本当にこう言ったの?」と確かめてそれからでも間に合う。そこで一ランク喧嘩のレベルが上がっていって、その辺のことでは喧嘩しなくなる。逆にそれが栄養になってきて。本当の夫婦円満というのはこういうことを培っていて、こういうプロセスがあって、必要な過程だったんだな。ですから今もカッと言ってカッとなることも少しはあるんですけれども、「ああ、レモンなんだから」と自分の中で理解できてきて、今はすごく助かりますね。
○夫婦円満のポイント
─日本の男性はあんまり奥さんの話を聞かないんですよね。
荘:奥さんが「何言ってるの」、「何やってるの」と言ったとすると、言う目的ですね。
言われた方は、「これだけ仕事のストレスがあって、お酒でも飲まなきゃやっていけない。」
けれども奥さんは旦那さんを窮地においつめるのではなく、身体を心配するが故に言っているわけじゃないですか。そこの所が一番のポイントですね。ですから、そう言ってくれるのは、心配して言ってくれているだろうけれども、聞く方にしたら疲れているのが倍になるのに、言ってる方は無意識に言っちゃうわけですよ。言われた方は心配よりも先にストレスに受けてしまうわけです。もったいないですよね。心配して言ってくれているのにストレスになってしまう。だったら違う形で心配を言ってくれる方がもっとうれしい。小さな誤解を通して損しちゃう。損はやめよう。僕のどういった言葉がつらいか、逆にあなたがこう言ってくれる方がありがたい、と。
─それはすばらしい会話ですね。
荘:それをやらないと「言ってもしょうがない、言っても分からない」こうなっちゃうと背中向いちゃう。
─そういう会話を二人で築いてこられたのですね。
荘:一番の望みは、家内と一緒に奉仕をしたいと。そういうことの中に、こうなってほしい、ああなってほしいとあったわけですよ。そして何とか変えよう変えようと思っていたのが、そうではない変えるものではない。神の作品なんだからこれを変えちゃいけない。
それから教会で結婚のカウンセリングをやっていました。何回かカウンセリングをした後に資料を見ながら、具合が悪い時は旦那さんはどうしてほしい、奥さんはどうしてほしいか、一生懸命つくしたら、うるさ過ぎて嫌になっちゃった場合もあるし、逆に放っとかれすぎちゃって寂しい思いをすることもあるので。結婚の前にどういうことを本音で話し合うべきか、子供をどう教育すべきか、そうした積み重ねが会話に導かれた部分がもしかしたらあるかもしれませんね。
─ご奉仕がいい機会だったんですね。
荘:こういうことをしたことで自分たち夫婦に、更にコミュニケーションができるチャンスが増えたと思います。
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