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著者プロフィール


「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、
そして人の心に思い浮かんだことのないもの。
神を愛するものたちのために、神が備えてくださったものは、
みなそうである。」 コリントT 2:9

鈴木 由夫


自殺の決行、そして・・・・・。

この日から次から次へと様々な事が起って行きました。

 最初の出来事は、本の主人公にもなった「偉い牧師」の方が、あす来ると聞き自分のためのホテルの確保をしようとした時でした。ベターリビングセンターで私が泊めていただいていたのはバス・トイレ・家具・応接セットまでついた非常に広い部屋でした。「偉い牧師」が来るならこの部屋を引き渡さなければならないと思ったからです。そこで電話帳を取り出し、旅行代理店に電話をしました。
そして、高級でしたが「Rというホテルを予約してください」と依頼をしました。
旅行会社に「ご予算はいくら位お考えですか?」と聞かれたので、「600ドルまでなら予約して下さい。」「承知しました。確保でき次第お電話をしますので、お電話番号を教えてください」
  私が、宿泊している部屋は電話が備えてありません。そこで、ベターリビングセンターの電話番号を連絡先として教えました。

 翌朝、遅い朝食を取っていると、ミセスに「鈴木さん、お電話ですよ」と声を掛けられ、電話口に出るとあの旅行代理店の人でした。そして、彼の言葉に驚きました。
開口一番「鈴木さんの泊まっている所はベターリビングセンターですね。Rホテルをキャンセルし、そこに泊まっていたらどうですか?」と。
  なぜ彼は、手数料が入るRホテルの予約を取り消し、1ドルも儲からないことを勧めるのか不思議でなりませんでした。
  ベターリビングの住人は、広いロスアンゼルスの中で30人程。後で分かったことですが、なんと彼はベターリビングセンターの住人でした。しかしまだこの時は、「偶然」だと思っていました。

 その夕方、「元死刑囚の新垣三郎牧師」がやってきました。穏やかな笑顔の中に、厳しさのある眼差しが印象的でした。夜7時、新垣牧師の話が集会室で始まり、その2時間の話は印象深い強烈なものでした。しかし、新垣牧師の話は途中で終わり、続きはまた明日と言うではないですか。
「もっとお話を聞きたいのですが」と伝えると、
「じゃあ明日から私に着いて来ない?」と言われました。
そして、次の日から何箇所もの教会や、ビジネスマンの集まりなどでの講演のお供をすることになりました。

そこで起きた「思っても見ないこと」とは
心の中で聖書を読んでみたいと思うと、その後の会食で同席した人が聖書をくれました。

また、ある朝、心に浮かんだ曲(その時、自分では何の曲か覚えていませんでした)がありました。その曲が教会の賛美歌として流れた時は驚きました。そして「なぜこの曲が流れたんだろう、誰がこの曲のことを知っていたんだろう」と思った時、涙が出て止まりませんでした。
後で分かったのは、「主われを愛す」という賛美歌であったと言うこと。それは童謡「シャボン玉とんだ」と同じメロディーであったこと。それに併せて想いだしたのは、小学校低学年の頃、近くの空き地のテントでキリスト教の集会があり、そこに通っていたこと等でした。

その夜、新垣牧師と外間元牧師に、アメリカに来た本当の目的は、自殺が目的の旅であることを打ち明けました。その後、お二人の牧師は、私のためにお祈りをして下さいました。
  それからの数日間は、新垣牧師や外間元牧師と、ご一緒に外出する日々でした。それはお二人の暖かい心使いで私を「一人にさせない」ことであったのかもしれません。
  いよいよ明日は日本に帰るという日、私はお二人の先生にこのように伝えました。
「この度は、本当にありがとうございました。私は今、聖書を読みたいと思っています。しかし全てを読むことはできませんでした。また神様がいるという事は信じることができます。しかしその神様がどういう方かは分かりません」
お二人はこの言葉を受け、お祈りして下さいました。私はなにも考えられず、ただただ大粒の涙が床を濡らしました。

 いま振り返ると、この時の私はモーゼを信じることの出来なかったエジプトの民と同じでした。

 その夜、一人になると自殺すべく計画を実行しました。

それは ある方法で青酸ガスを生成し、吸引するという手段です。

そして吸引するや否や、意識を失いベッドに倒れこんだのでした。

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