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ライフワークの発見と実現


黒川知文

シュヴァイツァーに学ぶ   >>シュヴァイツァーの生涯(PDFファイル)

3 教育

 人生を決定する要素として、一般的には遺伝と環境と本人の応答(経験)があげられる。昨今、DNA研究の進展により遺伝は決定的要素と考えられるが、いくら恵まれた血筋であっても、育つ環境が不適当だと、その人の先天的能力は発達しない。また、いかに遺伝と環境に恵まれているとしても、誰と出会うか、どのような本や思想を知るか、また本人がどのようにそれらに応答するかによって、その後の人生が決定される。特に、どのような教師に出会うかによって、人生は左右される。
  シュヴァイツァーの場合、信仰と音楽の遺伝、恵まれた自然環境と文化環境の中に育った。だが、少年時代は取り立てて優秀な生徒ではなかった。むしろ成績は悪かった。落第寸前であった。
  「苦労せずに読み書きをおぼえたというほうではなかったが、それでもわたしは村の学校でも実科学校でも、まずまずの成績を収めた。ところが、ギムナジウムでは、最初はできのわるい生徒であった」(同11頁)と自分を振り返っている。
  できがわるかったのは、「怠惰や夢みがちな性癖のため」であった。
  夢見る少年―――。 後年シュヴァイツァーは、「幼年時代の夢にこそ人生の真実はある」と述べているが、夢見ること、ヴィジョンをもつことは、いかなる年代の人においても大切なことである。
  「神は言われる。終わりの日に、わたしの霊をすべての人に注ぐ。すると、あなた方の息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る」(旧約聖書ヨエル書2:28)
  ここで使用されている「幻」と「夢」とは同じ言葉である。老人も将来を展望して幻を見る。決して過去の夢にひたるのではない。
  一方、シュヴァイツァーが怠惰であったことは、一人の教師との出会いにより変えられていく。第四学級になり担任教師ヴェーマン博士の熱心な教育により、自信がついて成績が上がった。落第せずにすんだ。ここに教育の効果があり、教師の人生に与える影響がいかに大きいかがわかる。
  「なによりもまず、この教師が毎時間、綿密をきわめた下準備をしてくることを、すでにその授業の最初の数日で知ったため、かれの影響を受けるようになったのであった。かれは、わたしにとって、義務遂行の模範となった」(同)
  ヴェーマン博士の熱心で勤勉なライフスタイルに感化されたことがわかる。 勤勉に義務を遂行していくライフスタイル。これが習慣になると、人生は楽しくなる。目標を達成すると、さらに大きな目標を掲げて、計画をたてて実現していく。精神主義によって怠惰は除去できない。無理のない生活習慣の中に生きることにより、怠惰は消失する。
  ところで、シュヴァイツァーは、後年何度も博士と会談したが、博士は後に貧困生活のために神経異常になり、自殺している。

 

シュヴァイツァー

(シュヴァイツァー)


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