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著者プロフィール


バイブルメッセージ   

−わたしたち人間の能力ではできない仕事を、あえてさせてくださる神−

森正行氏

個人的な体験・神の恵みの証

(3)シーガイア・グループと共催したレーナ・マリア・クリスマスコンサート -2-
(ビジネスに片足を突っ込む体験)

思わぬ契約
 2000年の秋、宮崎市内の牧師会でレーナ・マリア・クリスマスコンサート開催が承認されてから早速、コンサート実行委員会を立ち上げ、2000名の観客を動員できる開催会場を選定することになりました。宮崎県内でそのような施設は公立の施設が2箇所、もう一つはシーガイアグループ[フェニックスリゾート(株)]が運営する「サミットホール」でした。
 公立の施設は、県立と市立の会館があり、どちらも諸設備費用を含めると一日の使用料は約60〜80万円ぐらいのものでした。しかし、サミットホールはホール使用料だけでも一日当たり400万円の金額が案内には明記されていました。諸設備の使用料を含めるとさらに高額のものとなるため、私の心の中ではすでに会場候補から除外していました。

 しかし、親しくしている一人の牧師がフェニックスリゾート社(以降、「フ社」と略す)に打診されたところ、フ社から前向きな返答をいただき、話し合うこととなりました。
 そして、フ社側が提示した案は、実行委員会とフ社との「共催」で、契約金額は100万円でした。これには私は驚きました。
本来なら、ホール使用料だけで400万円以上の経費が必要なのですが、フ社がコンサート開催に共催するということで、ホール使用料、諸設備使用料、広告宣伝、コンサート当日の社員派遣を含めて、100万円の経費をフ社が受け取るというものでした。

 シーガイアのサミットホールは、宮崎県が県の基幹産業の命運をかけた施設でした。G7(先進国首脳会議)をはじめ、国内外の企業や学会、国際大会の会場とし十分に耐えられる施設とソフトを備えていました。
 そして、私たちはフ社と交渉に入り、市内牧師会の承認を得て、コンサート開催のためフ社と契約を結ぶこととなりました。

重圧と責任
 当初、私は重い責任のかかるポジションは避けたい気持ちがあり、「少しばかりのお手伝いが出来れば」と思っていました。
ところが準備を進めていく中で、私のような者が実行委員会の実質的な責任者としてのポジションを負うこととなり、また、フ社側からは、黒字達成とクレームゼロとするための対策と確約を求められることになりました。
フ社の担当者は私に言いました。
「森さん、コンサートには何人来ますか? 7割ぐらいしか来なければイメージダウンするですよ。それでは当社としては困るのです。またこのようなイベントでは必ずといってよいほど私たちにクレームが来ます。しかし、クレームをゼロにしてください。そうでないと当社に傷がつきますから。主催者として返事をください。」

 当時、フ社は巨額の赤字を抱え、会社更生法の適用はもはや秒読み段階でした。
 フ社としては、事業継続のためサミットホールで開催されるイベントは、ここで内外に好印象を与えたく、社員一人一人も、今後予想される大幅なリストラを前に、良い成績を残しておきたいと皆必死だったと思います。

 「倒産してしまえばコンサートは開催できなくなるのではないか」と危惧される声も直接受けましたが、私自身は、レーナ・マリアコンサートの宮崎開催は、何よりも神様が喜ばれ実現されると信じていたことと、「シーガイアの事業は宮崎県が必ず継続させるだろ」との読みと、キリスト教会として、危機の中にあるシーガイアの人たちをなんとか支援したいと思っていましたので、私は常に前進し続けました。

 しかし、フ社の担当者から「森さん、コンサートには何人来ますか? このようなイベントでは必ずといってよいほど私たちにクレームが来ます。しかし、クレームをゼロにしてください。そうでないと傷がつきますから。」と言われた時には、初めて自分がビジネスに片足を突っ込んでいたことに気付き、重圧と共に大きな挑戦を感じました。

 ビジネスに疎(うと)い私は、「協賛」ではなく、「共催」という関係は、ここまで要求してくるものだと初めて知り、「あービジネスに足を突っ込んでしまったんだ」と気付きました。
 私たち牧師は、大きな集会を開催する時には、公立や民間の施設を借りる時があり、その場合には施設の使用契約書を交わすわけですが、施設側が動員数や黒字化対策まで求められたり言及されることはありません。教会側もビジネスとしてではなく、ボランティアのような精神で開催することが多いと思います。しかし、私たち牧師にビジネスの意識が無くても、 「共催」として契約をしたフ社にとっては、これはあくまでビジネスであり、それは私たちにも責任がありました。

 私が感じた重圧とは、責任の達成に対するもので、自分の力量を遥かに超えたものだったからです。この経済的、立場的な責任達成の重圧は、この世の多くのビジネスマンが受けているものだな、と強く感じました。さらに、クリスチャンビジネスマンのクリスチャンとしての重圧も少しばかり共有したように思いました。

神に対する挑戦、信仰心に対する挑戦
 また、大きな挑戦とは、私に対する挑戦ではなく、私の信じる神に対する挑戦と、私の信仰心に対する挑戦だと直感しました。

 フ社の担当者は誠実な方で、それ以前から準備を進めていく中で、私たちは信頼し合える様になっていきました。私が担当者の方に、身体に障害のあるレーナ・マリアさんの紹介をしたおり、私は聖書の神の存在と力ある神の働きについてお話しました。
 「私たちの信じている神様は、今も生きて働いていて、人間の能力を超えたことをされます。レーナ・マリアさんの人生もその一つです。私はこのような愛と力のある神様が本当にいることを、宮崎県民の方々に知っていただきたいのです。」と。

 ですから、「コンサートには何人来ますか? クレームをゼロにしてください。」と言われた時は、「あなたの信じる神は、今も生きて働いているのなら2000名動員できるのか? あなたの信じる神はクレームをゼロにできるのか?」と問われているのと同じだと思いました。
 私はどのように答えればよいのか、少し迷いました。動因数やクレーム対策について真剣に考えてはいなかったからです。
 その場から逃げ出したいような気持ちにも、一瞬なりました。

 私たちには2000名を動員できるような経験も能力もありませんでした。しかしだからといって「さあ、それは蓋(ふた)を開けてみなければわかりませんよ」、「難しいですね」とは言えませんでした。
 かと言ってゴリアテと戦った少年ダビデのように、勝利の確信に満ちて、大胆に「私の信じる神様は、2000名以上動員できます。クレームも必ずゼロになります。」とも言えませんでした。

 私はその時、少年ダビデのように、戦う前から勝利の宣言が出来たわけではなかったのですが、心の中には「私の信じる神は、ご自身の栄光のために、神ご自身が準備され、働かれる。」と信じました。
 そして、心の中に少なからず不安を抱きつつ、答えた言葉は、「わかりました。そのように準備していきます。」
 当時の私は、これ以外の言葉がありませんでした。

神の働きと祝福
 それから約一年、このコンサートの準備には大きな困難もありましたが、県下のキリスト諸教会がやがて協力していくこととなり、特に信仰と情熱を持った協力者が与えられ核になり、約100名のクリスチャンスタッフを組織し、準備を進め本番を迎えました。

 コンサートには、約2350名もの方々が来場され、輝いたレーナ・マリアさんの姿を眼(まなこ)で見ていただき、その信仰に満ちた喜びの歌声を聞いていただきました。
そしてフ社に対するクレームはゼロでした。
コンサートの純益は100万円となりました。

 私は本当に大きな喜びを協力してくださった方々やフ社の担当者と分かち合いました。また、2350名の来場は、私の思いを超えていて、喜びと共に自分の不信仰さを見ました。

 後日、フ社担当者は、私たちの教会を訪れ、満面に笑みたたえ言われました。
「私は社長から褒められました。実に素晴らしいコンサートだった。またこんなに多くの人たちで組織され協力し合い配慮の行き届いた主催者はいない。これからの上得意とするように、と社長から言われました。」

 私は神に感謝をささげました。
 これは、最初から神様がご計画し、実現されたもので、そのために私のような不信仰と経験もなく、リーダーシップのない者もあえて使ってくださったのでした。

 純益金は、その一部をレーナ・マリア基金にささげ、残りは全額、翌年以降のクリスマス集会の運転資金となりました。

 翌年の宮崎県民クリスマス集会は、家庭崩壊や自己絶望した人たちや人生に迷いを抱いている方々へのクリスマスプレゼントとして、ゲストには、元暴力団の伝道集団「ミッション・バラバ」の方々7名をゲストとしてお招きし、さらに次の年には、社会人へのクリスマスプレゼントとして、クリスチャンビジネスマンの道を歩まれたミサワホーム中国(株)の正野隆士社長夫妻と元鐘紡(株)顧問の三谷康人牧師夫妻をゲストとしてお招きすることができました。

 

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