Back No  <Back Number>


テモテ・コール
著者プロフィール


家庭と仕事 

テモテ コール執筆 ファミリー・フォーラム代表


●結婚って困難だっけ? 第三号

 1968年オリンピックのマラソン競技が、閉幕間近の時でした。表彰式も無事終わり、観客が家路につこうと荷物をまとめていた時、

 会場アナウンスの声が、『皆様、もう一度どうかご着席ください」と言ったのです。ほどなく、一部の観客は点滅する青いランプのついた警察のバイクと、その後ろを走るのろいランナーを認めました。アナウンスによると、もう一人ゴールを目指しているランナーがいるというのです。

 なぜこれほど、時間がかかったのか?ランナーがゲートをくぐると、真相が分かりました。タンザニア代表のジョン・アクワリ選手が血だらけで必死に歩を前に進めていました。レースの前半で転倒して頭と膝を怪我したばかりか、他のランナーたちにも踏まれたのです。しかし、とにもかくにも起き上がり、ゴールを目指したというわけです。観衆は、優勝者にもまさる割れんばかりの歓呼をもってアクワリ選手を迎えました。
 ゴールラインを越えると、彼はすぐさま医療担当者に抱きかかえられ、そのまま病院に直行しました。

 翌日、同選手はスポーツ記者たちのインタビューを受けました。「アクワリさん、どうしてあのような事故に遭いながらゴールをめざしたんですか?規定時間内に帰れないのは、分かりきっていたのに・・・」彼の答えはこうでした。
「母国は、単にマラソンのスタートをさせるために私をここに送ってくれたのではありません。最後まで走り抜くためです。」

 結婚も、マラソンと同じです。結婚を始める時に短距離のように飛び出しても、何の誇るべきこともありません、すべての目的は、最後までしっかりとやり遂げることです。年老いた夫婦がいたわり合っている姿に、私はいつも感動を覚えます。また尊敬する80歳の宣教師の友人は、アルツハイマーにかかった奥さんの介護を、天に見送るまで12年間もしました。北海道の有名な三橋牧師は両足麻痺のハンディを持っていましたが、最近彼が亡くなるまで奥さんは彼を背に負い続けたのです。

 ジョン・アクワリ選手の競技と同じく、どんな結婚にも事故や苦しみがつきものです。今の世の中は、そういうことが起きたら、「選手」は棄権するものと決めて います。しかし、結婚の報いは、棄権せず走り続ける者に与えられます。これは統計からも明らかです。問題を抱える夫婦についてのある調査で、離婚寸前だったが、離婚せずに頑張り続けた人々の大多数は、「5年前に比べて今の方が幸せだ。」と答えていたのです。しかし、同調査でその時、別れて しまった人々は、5年後に「より不幸せになった。」と告白しました。

 何故このような現象が生じるのでしょうか。その答えの一つは結婚そのものの本質にあるのです。結婚について聖書の最初に書かれている有名な言葉は次のとおりです、「それゆえ、人はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである。」(創世記2:24)この結婚の定義の言葉の中の「結び合い」を元のヘブル語で調べますと「接着する」、「溶接される」という意味があります。ようするに結婚の本質は男と女が互いに「接着」することです。それでは、結婚にはどんな接着があるのでしょうか。まず最も一般的に感じられるのは感情的な接着でしょう。つまり、愛情、友情、魅力、好きであることなどが思い浮かびます。次に意志のレベルでの接着があります。それは例えば、結婚をする決断、結婚式でお互いに誓約することなどを含みます。ジョン・アクワリ選手が苦しかったにもかかわらずやめなかったと同じように、この接着はその後の二人の間に色々な問題があって、感情的な接着が薄れてきても、二人の忠誠を守るものとなります。

 三番目に性的接着があります。これは瞬間接着剤のようなものです。二人の間に性的触れ合いがあるとインスタントに強烈な絆が築かれます。四番目は霊的接着です。神の前で合わせられ、神によって心と思いと魂が一つにされた二人は特別な一体感を持つのです。さて、夫婦は2枚の板、あるいは2枚の画用紙のように上で述べた結婚の「接着剤」によって結び合わされて「ひとつ」となるのです。しかし、結婚にあきらめて別れてしまった場合には、一度接着した画用紙や板を引き離すと同じように、二人ともぼろぼろに引き裂かれてしまうことは良くお分かりになると思います。逆に一緒に長くいればいるほど接着剤が効果的になり、強い絆が築かれていくのです。だからこそイエス・キリストがあの有名な結婚式の言葉を語ったのです、「人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません。」(マタイ19:6)。

 さらに、結婚は一種の訓練でもあります。夫婦が共に色々な境遇に立ち向かう時、衝突し合いながらも年を経るうちに二人の角が削れ、人間として出来上がって行くのです。途中で別れてしまった夫婦はその貴重な人格的な訓練を失うのです。

 問題のある夫婦が走り続けるためには、いくつかの重要な鍵があります。

1 絶望したり、捨て鉢にならないこと。
2 コミュニケーションを保つこと(たとえ、相手が努力をしなくとも)
3 優しく、赦し続けること(たとえ、相手がそうでなくとも)
4 相手の必要に応え続けること(たとえ、相手があなたの必要に答えなくても)
5 結婚生活のために祈ること

 言うは易く、行うは難しです。しかし、5番目の「祈り」によって、神さまは他の4つを行う力を下さいます。私もご他聞に漏れず、切り傷や打ち身があります。しかし、祈りのお陰で立ち上がって走ることができました。今年でもう27年目です。あらたな希望を持てるのは、祈りのゆえです。 
  ウルトラマラソンの走者ディーン・カーナゼス(44才)という人は、最近フルマラソンを10度続けざまに走り(420 km)、スポーツと医学の世界を驚かせました。正しいトレーニングと決意があれば、常識では想像できないことでもできることを立証しました。結婚も同じです。ゴールに届く者にこそ報いがあるのですから、ぜひゴールを目指して走り続けましょう。

top

Copyright (C) 2004 e-grape Co.LTD. All Rights Reserved.