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テモテ・コール
著者プロフィール


家庭と仕事 

テモテ コール執筆 ファミリー・フォーラム代表


●結婚って困難だっけ? 第四号

 数年前のことです。私は、同じ頃に夫を亡くされた二人の奥さんと、それぞれ二、三日おいて話す機会がありました。夫たちは、二人とも長年牧師の働きにたずさわった方々です。奥さん方は、夫と結婚生活について正直に話をしてくれました。一人はこう言いました。「夫は、私から尊敬されていると思ったことがないんじゃないかしら。私は、主人を謙遜にさせるのが自分の役目のように思っていました。あまり幸せな結婚生活ではありませんでした。」

 もう一人はこう言いました。「最初は、どうやって夫を尊敬したらいいか分からなかったけど、そのうちに少しずつ分かるようになりました。私たちはとても幸せでした。」結果は正反対でしたが、いずれにせよ二人とも、妻から尊敬されることが男性にとっていかに大切か、またその一点によって、結婚生活はよくも悪くもなることを理解するようになったのです。

 今回は、「尊敬されることを必要とする男」というテーマを考えたいと思います。ショーンティ・フェルダンという女性(『女性が知るべき男性の必要』の著者)が、アメリカの様々な社会に生きる男性たちをインタビューして、「自分は孤独で愛されていない」と感じる状態と、「無能で敬われていない」と感じる状態のどちらか一つしか選べないならどうしますか? という質問をしました。驚いたことに、76%は、「敬われていない」よりは「愛されていない」と感じるほうがいい、と返答したのです。それだけではありません。男性は、「性的に飢えている」時よりも「尊敬に飢えている」時のほうが不倫の誘惑に弱いことをも知らされたのです。これらの事実は、上記の二人の婦人も経験から学んだことを裏書きしています。どの研究や統計を見ても、夫婦関係において夫側が最も求めるものの一つは自分の妻に尊敬されることです。そして、その尊敬がないときには、妻には想像できないほど、夫の心は苦しく、結婚関係に支障を来たします。

 では、尊敬とはどういうことでしょうか? 古代のギリシャ語では興味深い二つの単語が使われていまして、その二つは聖書の中にも現れてきます。まずは「あなたの父と母を敬え」あるいは、「夫たちよ…(妻を)いのちの恵みをともに受け継ぐ者として尊敬しなさい」と日本語に翻訳された言葉がありますが、これは原語を「ティモス」と言い、「その価値を認める」という意味があります。つまり、夫は妻を大切にし、貴重なものとして扱うべきことを聖書は教えているのです。

 しかし、その同じ聖書の文章は妻にはこう指示しています。「妻もまた自分の夫を敬いなさい。」、「(妻たちの)...恐れかしこむ清い生き方を彼ら(夫たち)が見るからです。」ここでの原語は、ギリシャ語の「フォボス」で「恐れる、畏敬する」という意味です。 「尊敬」の一般的な意味には、だれかを「大切にする」、それから「敬う」の両方の意味を含みますが、妻には夫に対して「敬うこと」が強調されているのです。こういう尊敬を妻は具体的にどのように夫に示せるのでしょうか?

 もっとも大事なのは、ことばです。多くの女性は、子どもや他人の前で、無意識に夫を軽んじたりおとしめたりします。それは日本ではなんとも思わないときも多いですが、夫は内心うんざりです。ある夫は、食事の席でスポーツの話題をよく出します。ある時奥さんが、「私たちはそういうことに関心がないの!」と冷たく言い放ったそうです。子どもの前で恥ずかしい目にあったお父さんは傷つき、奥さんに心を閉ざすようになってしまいました。今の例はどちらかと言いますと軽い問題で、多くの男性はもっとはるかにきつい言葉で槍のように突き刺され傷付いているのではないでしょうか。

 次に、女性たちは夫の判断や能力を信頼することにより、尊敬の心を示せます。私は、ドライブをしているとき、よく新しい道や裏道を捜しますが、そのとき、妻がよくこぼします。「みんなのように、いつも表通りを行けばいいのに。」そういう反応をされると、私は「尊敬されていない」と感じます。かと思うと、別の時に、妻がだれかに「どこどこなら、うちの主人はそこへ行く近道を知っていますよ。道のことなら彼にまかせて」と言うこともあります。私の能力を信頼する単純なことばが、夫への尊敬を伝えています。女性たちがさらに一歩進み、夫への感嘆のことばを言い表してくれるなら、更に感謝されるのです。
 
  最後に、女性は態度、つまり表情や声音や目線によって、尊敬を表せます。妻が夫にいつもけんかを吹きかけたり、不満を漏らしたり、けなしたりしていたら、彼は気持ちが萎え、ガードが固くなってしまいます。反対に、例えばある妻が一番自分が会いたかった人に会えたとします。有名な音楽家、俳優、スポーツ選手などです。その妻はどんな態度を示すでしょうか。それと同じ態度を、夫に毎日見せることが出来たら、彼は発奮し、妻の最良の友人になりえるのです。

 「ナチュラル」という野球映画で、ロバート・レッドフォードが、スランプに陥って野球選手として自信を失った男を演じています。大事な試合で、彼はやはりスランプを抜けられません。ところが、ガールフレンドが正面スタンドで立ち上がり、応援しているのが彼からよく見えます。彼女は、静かに立っているだけなのですが、その動作が「私はあなたを信じているわ、あなたの味方よ」と伝えています。主人公は、見事にその期待に応えるのです。これこそ、夫が必要としていることなのです。妻が自分を信じ、支え、感謝し、賞賛してくれているという意識です。妻がこれさえ伝えることができたら、夫は見違えるほどの男性に生まれ変わるかもしれません。

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