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テモテ・コール
著者プロフィール


家庭と仕事 

テモテ コール執筆 ファミリー・フォーラム代表


忘れることの大切さ

 最近インターネットで見つけた調査には、日本人の結婚に対する満足度が、他の国々よりはるかに低いことが表されていました。私は毎年多くの夫婦の話を聞いていますので,その結果に少しも驚きません。日本人に限らずどの国の人であろうと、30〜40年にわたる結婚生活は、多くの場合、言葉に言い表せないほどの痛みとトラウマを積み重ねてきています。
  たとえ最近出席したセミナーや読んだ本がフレッシュな感覚を与え,新しいスタートの希望を生み出すように思えたとしても、過去にあった言い争い、侮辱された事、さらには不倫、虐待のような経験は、そう簡単に処理できるものではありません。

 相手を赦す方がいいことは誰もが分かっていることですし,赦したい思いもあるかもしれません。しかしその様々な記憶が苦しすぎて、「自分たちの結婚は回復出来ない,幸せになる希望はない・・・」と思うのも少しもおかしくありません。そういう時すべての解決にはなりませんが、とても効果的なのは「忘れる習慣」を身に付けることです。

 最初に言っておきますが、忘れる習慣を身に付けることは決して楽ではありません。と言うのは私たちは普段から、漢字や計算の仕方、スケジュールや友人との約束など、思い出す方に力を入れています。それから、正直私たちだれもが、時にはいやなことを思いおこし自己憐憫に陥ることに、快感に近いものを覚えることがあるのを認めざるを得ないのです。そうすることによって自分を正当化し,相手が十分に償うまでは満足できないという思いを強めます。

 当然のことですが苦しいことをすぐに忘れることはほとんど不可能です。
  だからこそ赦すことの一部は、イエス様が十字架の痛みを私たちのために負ったように、相手のしたことで自分が受けた痛みを自ら負い続ける決意をすることです。
  しかし,赦すことのもう一つの面は、相手からの償いを求めずに過去のことを流すことでもありますので、いやな記憶を常に思い起こしている間はこのように流すことができないのも事実です。ようするに忘れるということは、新鮮な再スタートを可能にする重要な構成要素で、二人にとって辛い過去がなかったかのように、将来に向かって前進するための神様からの恵みなのです。

 何故夫婦の間に特に忘れることが重要なのでしょうか。商売で裏切られたり、だまされたりすれば、取引先を変えて済む問題です。友人との関係はどうでしょう,別の違う友人と付き合うことだってできます。しかし家庭内はそうは行きません。一生続く関係ですから成功させる意味が多いにあります。

 そこで具体的に忘れにくいことを忘れるにはどうしたら良いのでしょうか。
  まずそのことを思い起こさない決意が重要です。いやなことが思い浮かんだら,その代わりになる明るい思いとすぐ取り替える習慣を身に付けることをお勧めします。そして逆に、相手に関する良い印象や思い出を常に思いめぐらす習慣を造ることも。

 否定的な出来事を日記などに書き残したり、(カウンセラーのような人以外の)他人に話したりすることも控えましょう。そうすることは実質的に暗記する行為と同じですからやめなければなりません。

 新しい習慣を身に付けるまでには3〜5週間かかると言われていますが,「忘れる習慣」も身に付くまではそれぐらいかかる覚悟でいて下さい。忘れる習慣が身に付いたら、忘れる過程がそこから始まり、何年も続きます。忍耐を要する話です。

 忘れようとする内容には否定的な言葉、イメージ,感情などが含まれますが、自分が満足しそれによって相手を傷つけた場合には(例えば不倫をしてしまった場合)心から謝った後、その出来事に携わる「気持ち良い」印象や思い出も、徹底的に忘れる努力が必要です。最終的には神様の助けなしには今まで語ってきたことはおそらく不可能ですので,常に祈らなくてはなりません。その中で神様が私たちの思いと記憶を修正し、健全なものへと成長させて下さいます。

 聖書の神様でさえ「わたしは彼らの咎を赦し、彼らの罪を二度と思い出さないからだ。」(エレミヤ書31:34)と宣言していますので、私たちの結婚関係においても過去のことを忘れ去らせることは、神様の喜ばれることです。逆に、「忘れないことに何かの益があるのか」と考えると当然何もないのです。かえってそれは自分を苦しめることになるだけです。

 正直に言いますと、この文章は決して皆さんに対するお説教ではありません。私自身のことで、自分自身が今、取り組んでいる課題でもあります。これについては他にも、いろいろ書きたいこともあったのですが・・・それはどうも忘れてしまったようですので、今回はこのあたりで終わりにします。

 

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