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著者プロフィール



こころと魂の健康
 
 

渡辺俊彦氏

心の刃

 先日、友人からカウンセリングを依頼する電話がありました。職場に情緒不安定な人がいるので話を聞いてあげてほしいということでした。早速、時間を調整しその友人の会社に向かいました。会社に到着するやいなや当人に紹介され、カウンセリングが始まりました。この方は大変にまじめで、コツコツ仕事をする管理職の方でした。この方は、何でも自分で引き受け、ミスのないように気配りをする方でした。そして、完全にこなさなければならないと一生懸命に仕事をしてきたというのです。彼は、自分の過去の心の姿に気がつき始め、涙を流しはじめました。今までその様に仕事をするのが当たり前と思い頑張ってきた自分。そして、完全に出来ないと責めてしまう自分について話し始めたのです。やがて、カウンセリングが終わりました。

 これで務めを終え、帰宅しようとしました。すると友人は、もう一人の社員を連れて来ました。そして、「この人もお願いします」と私に預けて行きました。帰ることができなくなりました。覚悟を決め、カウンセリング開始しました。

 二人目の方は、「最近どうも涙もろくて駄目なんです」「原因が分からないのですが、涙が出て仕方がありません」と話し始めました。この状態が2年前頃から続いていると言います。いつも、自分の心の中に「お客さんに満足をしてもらうために一生懸命に努力しなければならない」という思いがあるというのです。そればかりか、同僚が仕事の失敗で他の部署に異動させられる姿を見て来たこともあり、「もっと努力しなければ異動となってしまうという恐怖感がある」ことを語り出しました。この方は、常に緊張しており心をコントロールしながら生活していたのです。すでに限界が来ていたのです。

  私たちの周囲には、大変頑張っている方々が多いということを感じます。子どもも、お大人も、皆頑張っています。精一杯頑張っているから辛くなるのです。そして、ある人たちは鬱になってしまいます。鬱的傾向を持つ人、鬱になってしまう人の中にある心のメッセージがあります。それをカウンセリングではドライバー(駆り立てるもの)と言います。どんなメッセージがあるでしょうか。 (1)完全であれ(2)急げ(3)もっと努力せよ(4)他人を喜ばせよ(5)強くあれ、です。これがないと自分が受け入れられないと感じています。

  これらの心のメッセージは、心の刃です。自分で自分の心を串刺しにしているのです。患者の「患」という字は心を刺すということです。ドライバーは、そういう姿ではないでしょうか。

  このような方々に次のような言葉をかけてあげましょう。(1)「完全であれ」に対して「そのままで十分ですよ」(2)「急げ」に対して「ゆっくりでいいですよ」(3)「もっと努力せよ」に対して「そこまで出来ればいいですよ、十分ですよ」(4)「他人を喜ばせよ」に対して「もっと自分を大切に」(5)「強くあれ」に対して「そんなに頑張らなくてもいいよ」。

  パウロは霊的鬱であったという評価もあます。私たちは、霊的側面でドライバーがあります。そのドライバーが霊的鬱を駆り立てることがあります。特に、奉仕の中に表れてきます。そんな時、他者だけではなく自分自身にも慰めの言葉を語りかけると楽になるはずです。

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